2017年作『邪魔したな〜』です。第67回日本板画院展に出品した作品です。
鳥虫の作品には、鳥虫以外にもさまざまな生き物たちが登場しますが、
この作品はそうした世界を象徴する一枚と言えるかもしれません。
画面中央右を歩く主役の生き物も、いつもの鳥虫とは少し違います。
猫のようにも象のようにも見えますし、人のような歩き方にも見えます。
周囲にはキリンや牛のような生き物たちもいて、
それぞれが思い思いに過ごしています。
私には、この作品が「楽しく遊んでいる場所から立ち去ろうとしている場面」
のようにも見えます。
制作当時、父は90歳。そろそろ自分の進退についても考えていた頃でした。
主役の生き物は、ポールから外してきたような鯉のぼりを肩にかけ、
箱のようなものを抱え、手には丸い飾りのようなものを持っています。
まるで自分の思い出や気持ちまでも持ち帰ろうとしているかのようです。
タイトルの『邪魔したな〜』もどこかユーモラスでありながら、
自嘲的な響きを感じさせます。
よく見ると、一匹の白い鳥虫が主役を引き止めているようにも見えます。
「行かないでよ」
そんな声が聞こえてきそうな気がするのは、私だけではないかもしれません。
この白い鳥虫が引き止めているように見えるのは、
見送る側の私自身の気持ちが重なっているからなのかもしれません。
