羽田智千代も初期には、信州・安曇野の風景を写真に撮り、
それをもとに木版画を制作していました。
しかし次第に、目の前の風景をそのまま再現するのではなく、
記憶や想像を重ねながら、心の中にある理想の風景を
彫るようになりました。いわゆる「心象風景」と呼べる作品群です。
また、今にも崩れそうな廃屋や、時の流れを感じさせる建物にも
強く惹かれ、それらを題材にした作品も数多く残しています。
やがて鳥や虫を思わせる不思議なキャラクターたちが作品に現れ始め
晩年には風景を描いた作品の中にも、そうした「鳥虫」たちが
自然に共存する独自の世界が広がっていきました。