近くの教会で借りたローラーとインクで

これも国民学校3年くらいの時の話。

ある時、学校の先生から、
「木版画」というものがあると聞いた。

好奇心旺盛だった智千代は、
近所の友人と一緒に、
見よう見まねでやってみようと思った。

智千代の隣の家に住む叔父は、
履き物屋「十七夜」を営んでいた。

話をすると、
下駄の歯になる木片を少し分けてくれた。

そこに釘や金槌で傷をつけるようにして、
何かを描いてみた。

しかし、
さてどうやって刷ればいいのか分からない。

すると友人が、
同じ町内にある教会へ行こうと言い出した。

教会へ行って神父さんに頼み、
ガリ版印刷に使うインクとローラーを借りて、
木片にインクをつけ、紙に刷ってみた。

これが智千代の版画の原点だった。

この時の経験のためか、
智千代は生涯、
油性インクをローラーで版木につける方法で
木版画を刷り続けていた。


この記事を書いた人

羽田智憲